モンゴル障がい児療育支援事業

事業の詳細

障がい児を受け入れてくれる場所がない

療育が保障されていないモンゴルにおいて、障がい児を抱える親たちにより各地で保護者の会がつくられ、2000年に全国ネットワーク組織として障がい児保護者の協会(以下、保護者の会)が設立されています。

モンゴルでは、2014年には「障がい児者の権利を確立し、保健、教育、福祉を保障する法律」が改正、施行されました。各県、ウランバートルの各区に子ども発達センターを設置するとされていますが、計画はなかなか具体化しないまま時間が経ちました。いまようやく中国の支援で全国の障がい児センターが建設されているところです。

始まりは車いすを届けることから

2005年8月の車いす贈呈

ニンジンはモンゴルの障がい児支援を主な目的として2003年設立されました。ボランティアの立場で医師、理学療法士(PT)、保健師、障がい児教育の教員など様々な専門職が集っています。

設立当初できることからと保護者の会を窓口に、2004年から使用済み車いすをモンゴル運び、理学療法士などが現地でお子さんに調整して車いすを手渡すことを続けてきました。いまは現地で採寸して身体に合った車いすを支援するようにと変わってきています。

専門家が毎年通うことから展開

2012年に訪問したメンバー

2012年から、日本における療育を育ててこられた東京都立北療育医療センターの中島雅之輔医師を中心とする関係者の協力を得て、現地の状況の把握に努め、保護者の会を中心に研修、啓発セミナーを行い働きかけて、モンゴルに早期発見、早期療育の仕組みを早く実現できることを目指しています。

2012年から、日本における療育を育ててこられた東京都立北療育医療センターの中島雅之輔医師を中心とする関係者の協力を得て、現地の状況の把握に努め、保護者の会を中心に研修、啓発セミナーを行い働きかけて、モンゴルに早期発見、早期療育の仕組みを早く実現できることを目指しています。

2014年5月聞き取り調査中の植木看護師

日本では40年あまり前に経験していたことですが、療育を実現するには行政が動くことをただ待つのではなく、当事者である保護者たち自身が立ち上がり、実態を調べ社会に知らせ、障がい児を集団保育する場をつくって見せていくことが、行政が動き出す牽引力になりました。それを伝え、保護者たちが積極的に動き出すための啓発を行ってきました。

ニンジンが2014年5月にウランバートル市で行った聞き取り調査では、モンゴルでは新生児重症黄疸等による脳性麻痺の発生が多いこと、また出産にまつわる問題で障がい児が発生していることが確認され、障がい児にならないでいいお子さんが数多くいました。障害にかかわる専門家が養成されていない社会状況も改めて浮かび上がりました。 保護者の会では、日々成長する子どもたちのケアをしながら、障がい児の早期発見・早期療育の機会を実現するために運動を進めており、ニンジンはその伴走支援を行っています。

3つの側面から活動

ニンジンのモンゴル障がい児療育支援事業では3つの側面から活動を行っています。

第1は、専門医師・保健師・理学療法士・看護師などからなるチームで、モンゴル社会における障がい児をめぐる状況を把握し保護者の会が行う運動へのアドバイスや啓発、日本での研修機会の創出などをおこなうことです。

第2は、車いす専門家チームにより障がい児の身体に合った車いすを贈ることで障がい児の発達を援助しています。また、車いすのソフト(ベルト・クッションなど)については。近い将来、現地で対応できるよう研修、仕組みづくりを進めています。

第3は、立ち上がった自主保育グループ(のなかの2か所)のサインナイズセンター及びゲゲーレンセンターをこれからモンゴルの全国で作られる療育センターのモデルとなるように、保護者および保育者を対象に療育技術移転と、あわせて現地のPT、家庭医等の療育指導者を対象に研修を行い療育技術の普及を図っています。(この現地での技術移転についてはJICAの草の根技術協力事業として専門家がチームを組み2016年9月から3年間実施中。) どのような障がいのある子どもも、早期に障がいが発見され、適切な医療的な支援、教育的な支援を受けられるようになることを目指しています。