車いす支援

事業の詳細

高層ビルが次々建設される
首都ウランバートル

車いすの支援は、ニンジンの設立当初から継続している活動です。ニンジンとして初めて車いすをモンゴルに運んだ 2004 年は、モンゴルが民主化して 10 年以上たっていました。街の様子は一見すると豊かになったような感じもしましたが、実際のところは貧富の差が開いて、苦しい生活をしている家庭が多く、貧困家庭の調査をすると障がい児・者のいる家庭が多いとのことでした。国内に車いす工場はなく、特に子ども用の車いすを入手することは極めて困難でした。

そんな中、JICAのシニアボランティアとして現地で活動ていたメンバーの紹介で、障がい児保護者の協会(以下、親の会)を窓口に日本で使用済子ども用の車いすを寄贈することになりました。

車いすに乗ってこの笑顔
お母さんもうれしそう

国内での車いすの収集は、心身障害児総合医療療育センターのお声がけ、ご協力をいただいてきました。集まった車いすをみんなで掃除・整備して、夏に「モンゴル交流ツアー~障がい児に車いすを届ける旅」を企画して、航空会社等のご協力をいただいて運びました。また、現地で活動中のJICAボランティアの要請を受けて「世界の笑顔のために」プロジェクトを通して現地に届けられた車いすもかなりありました。毎年30台~70台ほどをモンゴルに届けてきました。

親の会を窓口にすることで単に寄贈して終わるのではなく、お子さんの成長により小さくなった車いすは親の会に戻し、次の車いすと交換できるよう、親の会でも車いすのレンタル契約をする形をとるようになりました。

この頃は、集まった車いすを皆で掃除、整備してモンゴルへ送り出し、現地に行ってその車いすに合いそうなお子さんに調節して手渡すことをしていました。

身体に合った車いすを送るために支援の方法も変化

親の会で調整が終わってハイポーズ
交流ツアーの参加者と(2012年8月)

療育支援事業の展開とともに車いす支援も様変わりしてきました。2012年春から都立北療育センターの中島雅之輔先生に同行して車いすの専門技術者の今清水勝人さんはじめ、㈱ゼット本社の方たちが現地へ赴くようになり、支援の方法が変わりました。「障がい児の車いすはたんに乗るものでなく発達を助けるものでないといけない」とのことから、お子さんを実際に採寸して、帰国後そのお子さんのためにサイズの合う車いすを探し、ベルトや特製クッションをつくって送る形に変化しました。あわせて現地に修理ができるスタッフを育ててきました。

クッションもベルトも
ぴったりでご機嫌(2015年5月)

車いすを受け取った親子からは、「身体にピッタリ合って、とても嬉しい」「親の負担を軽減してくれて本当に助かる」「これで子どもをお日様の下に散歩に連れていける」など喜びの声を頂いています。

現在は、現地から採寸表が送られてきて、日本でサイズの合うものを探すようになっています。ベルト、クッション等の製作、修理も現地でできるようになってきています。

より身体に合った車いすを送ると同時に、まだ外に出るためにとにかく車いすが欲しいという地方の声も受け止めていきたいと思います。